夜のミステリーについて

1975年10月から開始。平日(月曜から金曜)の夜放送のラジオドラマでした。当初のタイトルは「ミステリーゾーン」。僕が初めて聴いたのは1976年の12月、怪奇探偵小説シリーズの「生きている腸」です。

夜のミステリー(TBS)
  脚本:横光晃、川崎洋、伊藤海彦、鈴木清順、山元清多、津瀬宏、岩間芳樹、石堂淑郎、佐藤信
  出演:神山繁、西田敏行、倉野章子、高橋昌也、草野大悟、斉藤晴彦、三好美智子、清水紘治
  「一慶・美雄の夜はともだち」という番組の中でやっていました。(「ミステリー・ゾーン」改題)
  中学生の時にラジオ番組欄にこのタイトルを見て聞きたくなりました。
  好きだったのが「書き下ろし競作シリーズ」5人の放送作家がオリジナルミステリー作品を書いていた。
  好きな話をいくつかあげます。

書き下ろし競作シリーズ

横光晃作「居心地のよい部屋」 出演 清水紘治 吉田日出子 伊東満智子
  「壁」をテーマにした書き下ろし競作シリーズです。新婚夫婦が格安のマンションに引っ越して来た。安らぎを感じる夫に対して、妻はその部屋に不審者を発見する。不審者の正体は・・・。個人的にタイトルが好きです。内容もサスペンスたっぷりです。

川崎洋作「殺人のマチエール」 出演 高橋昌也 倉野章子
  「色」をテーマにした書き下ろし競作シリーズです。老画家はモデルの美智子のパトロンになっていた。しかし、奔放な美智子は画家の弟子の立花と恋に落ちてしまう。老画家は二人の結婚祝に愛用のパレットナイフを贈る。詩人の書いた怖い話です。

鈴木清順作「猫殺しの山」 出演 神山繁 倉野章子 西田敏行
  「山」をテーマにした書き下ろし競作シリーズです。彼女は大きな胸を武器にパトロンに囲われていた。かつて、その胸に顔を埋めて死んだ猫がいた。実に荒唐無稽で面白い話です。

津瀬宏作「日本製の時計は優秀だ」 出演 斉藤晴彦 草野大悟 三好美智子
  「忘れ物」をテーマにした書き下ろし競作シリーズです。患者は手術の折に身体の中に時計の忘れものをされてしまった。それ以来、規則正しい生活を始めた。ユーモアを散りばめた味のある作品です。

伊藤海彦作「黒い山」 出演 西田敏行 神山繁
  「山」をテーマにした書き下ろし競作シリーズです。写真家は山の写真を取るために山に篭った。夜明けにその山で何かうなるような音が聞える。見ると遠くの山が黒くなっている。体が痒くなるような気持悪い話です。

山元清多作「笑えない話」  
  「顔」をテーマにした書き下ろし競作シリーズです。私は上司からも恋人からも笑っていると言われた。笑っていないのに・・・。とても可哀想な話です。

岩間芳樹作「脳死」  
  「波」をテーマにした書き下ろし競作シリーズです。女は脳死の夫の心臓提供を承知した。数年後、女は別の男と恋に落ちて結婚した。

石堂淑郎作「隣室の男女」  
  「ポケット」をテーマにした書き下ろし競作シリーズです。出張に来た男は旅館に泊まり、夜中に男女の話声で目を覚ました。

佐藤信作「絶対美女」  
  「美女」をテーマにした書き下ろし競作シリーズです。美容整形界のカリスマ医師が絶対美女として発表したものは。

斉藤憐作「アダムと10人のイブたち」  
  「波」をテーマにした書き下ろし競作シリーズです。若い女性が失踪する事件が相次いていた。刑事は婦人警官を囮にして…。

横光晃作「買われた」 
  夫婦は夜更けの遊園地で「顔を売って下さい」と声を掛けられた。

川崎洋作「透明な怨念」 
  釣りに出かけた男は、隣の老人が大きい魚を釣るのを見て感心した。

鈴木清順作「プレスリー&ワイン」 
  プレスリーが死んだことでショックを受けた妻は夫を罵った。

津瀬宏作「深夜のフェリー埠頭より」 
  真夜中、葬儀屋のところに自分の葬式をあげてくれと電話が掛かってきた。

伊藤海彦作「盗まれたもの」 
  古道具屋で骨董品の鏡を買った女は、毎日その鏡を見つめるようになった。

山元清多作「汚点だらけの男」 
  人を殺し続けてきたガンマンは自分の体が汚れていくように感じるのだった。

岩間芳樹作「飛ぶ指輪」  
  アバンチュールの相手は指輪を忘れていった。

石堂淑郎作「灰とダイヤモンド」  
  不倫相手の人妻は死ぬ前にダイヤの指輪を渡した。

佐藤信作「767番目のポケット」  
  魔術のタネを売っている年齢不詳の男。

斉藤憐作「猫目石」  
  宝石商は友人に猫目石を売ってくれと頼まれた。

横光晃作「内なる鬼」 
 酒を飲ませて女を口説く方法とは。

川崎洋作「絵空事の家」 
  日曜画家が趣味の男は、山で存在しない家の絵を描いた。

鈴木清順作「池のほとりの古い西洋館」 
  西洋館に住んでいる父娘。

津瀬宏作「足元にご用心ください」 
  男がアパートから飛び降りて死んだ。

伊藤海彦作「漂っている眼」 
  酒を飲んでグラスの中に"眼"の幻影を見るようになった。

山元清多作「絵のぐ」 
  佐伯画伯の絵は色彩に特徴があった。

パパのバラード

999.5人目の女

真夜中のサーファー

完全犯罪

シグナル・赤

赤い鳥居

カンガルー計画

ご不審な点は水道局にどうぞ

緑色奇譚

缶詰

凍った花

クレヤボヤンス

1976年にアンソロジーとして出版されました。

体験実話シリーズ

雨の日と月曜日は」 出演 野沢那智 谷育子 樋浦勉
  友人に譲ってもらったカーペンターズのアルバムの「雨の日と月曜日は」という曲に何かを引っ掻くような音が入っていた。そのレコードは死んだ中学生の女の子のものだったが・・・。

叫び声」 出演 若山弦蔵 倉野章子
  社員旅行で熱川に泊まってから男は夜中に女の叫ぶ声が聞こえて眠れなくなった。

白い女」 出演 大塚周夫 谷育子 蟹江敬三
  仕事が遅くなってしまい、和作は夜道を自転車で帰路についていたが、いつもの道なのに迷ってしまった。

」 出演 田中信夫 二木てるみ
  晩酌の席で、老人は女中に「占い師に『あなたは人を食うだろう』と言われた」と語った。

猟銃に狙われて」  
  彼女と喧嘩をした猟師の男は自棄になって森の奥まで入ってしまい・・・。

影のない男」  
  若者は自動販売機で、汚れた10円玉でタバコを買おうとした。

飛び込み電話」  
  学校で電話をしている時に、電話機を叩くという悪戯が流行った。

人形が泣いている」  
  おもちゃ屋で買った人形が夜中に髪を引っ張る。

見知らぬ学校」  
  学校の怪談を3話。

窓の外」  
  兄妹が留守番をしていて。

10月30日

回送電車

見えない

はぐれた道

蛇口

海女の口笛

テントが揺れる

生首

タクシー

貨物列車

消えた窯の火

雨の宿

怪奇探偵小説シリーズ

海野十三作「生きている腸(はらわた)」 出演 小松方正 北村総一郎
  医学生・吹矢は極秘に新鮮な人間の腸を手に入れて、飼育する実験を始める。チコと名付けられた腸は吹矢になつき、砂糖水を飲んだりした。

角田喜久雄作「蛇男
  貧民窟に住んでいる私が酒場で飲んでいると、若い白髪の男が「私を蛇男みたいだと思ったでしょう」と話しかけてきた。

城昌幸作「ジャマイカ氏の実験
  私は冬の夜のプラットフォームを考え事をしながら端から端までを行ったり来たりしている外人を見ていた。

弘田喬太郎作「眠り男羅次郎
  

水谷準作「恋人を食べる話
  

大下宇陀児作「れすとらん紅座
  

香山滋作「海から来た妖精
  

日本SF傑作シリーズ

筒井康隆作「俺に関する噂」  
  ある朝のテレビ番組でだしぬけに俺のニュースを放送した。無名人である俺のニュースを・・・。

星新一作「門のある家」  
  借金を断られた男は、あてどもなく街を彷徨って、気が付くと門のある家の前に立っていた。

眉村卓作「通り過ぎた奴」  
  未来世界は街中がビルのようだった。街をリュックサックを背負った旅行者が歩いていた・・・。

半村良作「ボール箱

小松左京作「夜が明けたら

冬の夜の炉端話

飯食わぬ女」  
  けちん坊の男は口のない女を女房に貰う。口がないから飯を食わない。ところが米の減りが早いことに気づく。

ほととぎす」  
  真面目な弟と弟に嫉妬する兄、食べ物がないはずなのに空腹に見えない弟が自分に隠れて何かを食べていると疑った兄は・・・。おととこいしやぼっとぶっつぁいた。

骸骨の歌
  

おはじきめさい
  

中国怪異物語シリーズ

人間の皮」  
  男は泣いている女を助けて家に連れて帰った。その日、男は道士に邪鬼が憑いていると言われる。

赤い上着」  
  うだつの上がらない書生のところに美しい女が妻にしてくれと訪ねてきた。そして、女と3年経つまで明りで照らさないと約束する。

ふたたび闇に
  

一夜の宿
  

牧逸世界怪奇実話シリーズ

斧を持った夫人の像」  
  農場を経営する女は結婚相手を新聞広告で募集していた。

ロウモン街の自殺ホテル」  
  そのホテルのある部屋に泊まると翌日には自殺死体で発見された。

街を陰る死の翼
  


1977年の10月から日曜深夜の30分番組に変更になりました。毎回本編の前後の推理作家の都筑道夫さんの解説が入ります。1979年の3月まで全75話を放送していました。聴いた中で特に面白かったものを。

西村京太郎作 山元清多脚色「やさしい脅迫者」出演 小松方正 坂本長利 山元良子
  男は床屋の主人を脅迫するために、その床屋に通っていた。最後の小松方正演じる脅迫者の独白が泣けます。

横光晃作「夢の悪魔」出演 岸田森 三好美智子 村松克巳
  山崎は妻の紗栄子と友人の西岡の運転する車で山荘の別荘に向かっていた。寝不足にブランデーを飲みながら。主人公の狂気が鬼気迫っています。

生島治郎作 井沢満脚色「頭の中の昏い歌」出演 草野大悟 北見治一 村松克巳 倉野章子
  小さな出版社の校正を仕事とする男は神経をやられていた。家で眠れないでいると屋上で歌う少女の声が頭に響いてきた。孤独な独身男を主人公にした現代の怪談です。

川崎洋作「神様の微笑」出演 倉野章子
  恋人に裏切られた私は、もう一人の私と話していた。詩人の見たロマンチックで悲しい死の物語です。

都筑道夫作「幽霊屋敷」出演 上田忠好 岸田森 杉田景子 伊川東吾 服部良次 福原一臣
  大学のミステリー研究会の人たちが幽霊屋敷と言われている廃業した病院を探検する。音だけのシーンも怖いが最後の一言がさらに怖い。

リスト※タイトルだけです


1986年10月から「ミステリーゾーン」というタイトルで復活しました。こちらは講談社が協力しておりまして、原作は講談社文庫からでした。初めは「夜のミステリー」時にレギュラー的なシリーズ「書き下ろし競作シリーズ」や「体験実話シリーズ」はなかったのですが、後半は復活しておりました。1989年3月に終了。いくつかお話を載せます。

筒井康隆短編集

筒井康隆作 山元清多脚色「その情報は暗号」出演 佐藤慶 樋浦勉 新井純
  酒場にいる諜報員の元にベテラン諜報員が訪ねてきた。コントみたいな作品をよくぞドラマ化したものだ。江口寿司の「すすめパイレーツ」にも同じようなシーンがあった(もちろん、筒井氏のほうが先)。

都筑道夫短編集

都筑道夫作 雁田昇脚色「鬼火色のドレス」出演 清水紘治 石橋蓮司 三好美智子
  刑事は見知らぬ女の幽霊に付き纏われて困っていた。

現代推理傑作シリーズ

森村誠一作「魔少年」 
  塾の先生との不倫中に自動車に・・・。

小松左京作「さとるの化物」 
  

怪奇探偵小説シリーズ

横溝正史作 津川泉脚色「」出演 宮川洋一 小野武彦 寺田路恵
  古ぼけた露店に入るといろいろな奇妙なものに並んで瓶に入った「人間の舌」があった。

光石介太郎作 雁田昇脚色「霧の夜」出演 草野大悟 石橋蓮司 三好美智子
  霧の夜、ベンチで隣合わせた男から不思議な話を聞く。男は元はサーカス団でナイフ投げをしていた。

アルデン作「実験魔術師」 
  

体験実話シリーズ

最後のダイビング」 出演 平沢智子 樋浦勉 安藤一夫
  水泳部の合宿で部員は崖から海に飛び込んで、その様子をカメラで撮って遊んでいた。

盆踊り」 出演 花房徹 梨羽由紀子
  婚約者を連れて故郷の盆踊りに参加した男は、昔一緒に盆踊りに行った女のことを思い出していた。

伝言」 出演 花房徹
  アパートの近所で交通事故があり、眠っていた自分は若いカップルに無理やり起こされた。

真夜中のプール」 
 

人型」 
 

和男ちゃん」 
 

こっくりさん」 
 

書き下ろし競作シリーズ

鈴木清順作「階段のない二階家」 出演 高橋長英 大塚周夫 小川より子
  「階段」をテーマにした書き下ろし競作シリーズです。お嬢は地上げ屋のずわい蟹の脅し屈さなかった。

横光晃作「勝利者」 出演 西田健 吉野由樹子 広瀬昌助
  「贈り物」をテーマにした書き下ろし競作シリーズです。女の恋人はライバルの罠にはまって刑務所に行こうとしていた。

伊藤海彦作「小さな闇」 
  ある日、突然、闇の中で目を覚ませた。

山元清多作「人魚の手袋」 
  男が愛した女は手袋をしていた。

高橋辰雄作「馬鹿の三寸」 
  日本の軍隊は本当に馬鹿だった。潜水艦なども適当に作っていた。

鶉野昭彦作「紹介」 
  

雁田昇作「変色」 
  

鈴木清順作「ノーハードフィーリング」 
  

横光晃作「終わりは始まり」 出演  
  

伊藤海彦作「夢の隙間」 
 

山元清多作「煙が目にしみる」 
 


ネットで聴ける夜のミステリー

夜のミステリー 体験実話シリーズ 〜窓の外〜

夜のミステリー 体験実話シリーズ 第3夜「回送電車」

夜のミステリー 体験実話シリーズ 第4夜「みえない」

夜のミステリー 書き下ろし競作シリーズ 第37週'美女'「凍った花」

他にもありますので探してみてください。

「夜のミステリー」、「ミステリーゾーン」のリストを作ろうと思っています。

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